てしごと goto goto

手仕事する日々

トラウマの金継を再開すべきか

金継をしたいのだけど、かつてのトラウマが蘇って恐怖と戦っている今日このごろです。

 

 

2年ほど前に金継に興味を持ってやってみたら、漆でかぶれて顔が3倍くらいになったのです。顔のみならず、体中パンパンに腫れあがってしまいました。

 

 

体重50キロほどで顔もあまり肉がついてないはずなのに、かぶれ中は100キロはありそうな雰囲気。頬もパンパン、まぶたも晴れ過ぎて目が見えないくらいになって、完全に人相が変ってしまいました。手足もパンパンで痛いわかゆいわ、地獄とはこのこと。

 

 

漆かぶれは治るというけれど、ネットで調べてもわたしよりひどい症例が出てこなくて、一生このままだったらどうしよう、って怖くなりました。もうあの顔にも身体にも戻れないのかと。でもしばらく考えて、まあその時はその時ね、と意外と受け入れました。だってそうなったら仕方ないもんね。

 

 

トラウマからようやく立ち直りかけた1年ほど前、久しぶりにやってみようかと少し手を付けたら、軽度ではありますがまたアゴの方が腫れてしまいまして、それ以降、怖くてまた放置しています。

 

 

金継途中の食器たち。たくさんある

 

なぜだ💔

 

 

漆ってこんなにひどくなるもんなんでしょうか。わたしが特別、敏感とは思えないのですが。

 

 

ということで、原因について現時点の自分なりに考えてみました。

 

 

・漆の品質が悪い

 

よろしくない漆だとかぶれやすい、というのをどこかで見た気がします。わたしが買ったのは初心者向けのキット。ある店に立ち寄った際にあったのを買ったのですが、製造元を調べるとネット通販はやっているものの見つけにくく、さほど推してる商品ではないのかなと思いました。それと品質が関係するかはわかりませんけど。

 

 

・防御が甘かった

 

長袖を着て首はタオルを巻いてゴム手袋をしてゴーグルして、と自分なりに装備したつもりでしたが、長時間やっているうちに甘くなっていたかもしれません。どっかについたのを機にせず触って、その手で顔に触れたりしたのかも?

 

 

・無知なままやっちゃった

 

正直、これが一番の理由だろうなと思ってます。つまり自業自得。

 

どうせやるなら、数をやって習得してやる! と息巻いていたので少しでも欠けている食器をかき集めて10個くらい同時にやろうとしたのです。しかも密室で。

 

 

漆の成分って空気中にも飛散しますよね? たぶん11月くらいに作業したので、寒くて締め切ってたんですよね。そして、ふすまで仕切られた隣の部屋で寝ていた。一応、作業後の食器は乾燥用の入れ物(漆風呂)に入れてフタはしていたのですが、密閉してるわけでもなく。

 

 

作業後の部屋は十分な換気をしたか忘れました。作業後の道具はきれいに掃除しますが、完璧に取れることはないでしょう。それをずっと自分の近くに置いていた。

 

 

後で振り返ると、1週間弱ほどわたし自身が漆風呂の中にいたようなものでした。

 

 

かぶれの段階

 

2年前のことなのでうろ覚えでしたが、翌日から首が少しかゆくなってきました。「漆だから多少はあるんだろう」と気にしなかったら、どんどん悪化し、しかも少しずつ首から上に上がってくるんです。アゴ、頬、耳、目——って。そこで初めて「やばいかも」と気づきました。

 

同時に、下半身も腫れました。ちょっとアレですが、股からくるんですね。トイレとかで触れてしまうからなのか、皮膚の弱い部分だからか、その辺が理由なのかなと思っていますが。そしてお尻や太ももも腫れて、デニムとか履けないんですよ。

 

 

いつも体中がドクドク波打っていたので、わたしの免疫頑張ってるのかなと思ってました。ピークを過ぎると、はち切れんばかりにパンパンだった肌が、ガビガビになり干上がった大地に変化。かゆみとともに新しい皮膚ができてボロボロと取れていきました。面白くてつい自分で剥がしたくなるんですが、日焼けの後みたいなもので、調子に乗ると後が残りそうでした。

 

 

完治には3週間ほどかかったような。

いやーよかったわあ、とホっとした記憶。

 

 

 

真っ只中だったころ、久しぶりに兄が家に来ました。未だかつてないほどはれ上がった顔を見て「大丈夫?」って口では言うけど、どう見ても顔は笑いをこらえていました。

 

 

わたしも多少は容姿には気を遣ってきたつもりなので、まあショックではありましたが、もし今後もこのままなら覚悟決めなきゃね、と早々に開き直り、マスクだけして普通に外出。

 

 

ランチで入ったお店で「漆で顔面が3倍に腫れた」という話をしていると、斜め前に座っていた奥様が興味津々でこちらを見てきました。

「見世物じゃないわよ」って感じなんですが、わたしも目の前でそんな話されたら確実に見るでしょうね。そのころはMAXから少し引いたくらいの時期でまぶたはまだ重くて半開き。治った後のわたしを見ても、奥様は誰か気づかないでしょう。

 

 

いま部屋の隅には金継をほっぽり出した器やら皿やらが積み重なって、どうすべきか悩んでいます。高級なものではなく、練習したくてかき集めたので捨ててもいいんですが。でもあとは仕上げだけ。

 

 

べんがら漆とか塗りたいし、金粉も蒔いてみたい。どうしてもやりたい。

でもまた顔3倍になりたくない。あの地獄は勘弁願いたい。

 

 

欲望と身の安全を天秤にかけて迷ってます。

 

 

 

さて、わたしに残された選択肢は…

 

 

①地獄コースを進む

②漆を高級なものに買い直して、1、2枚だけとりあえずやる

③金継教室に行く

④漆ではなく接着剤にする

⑤諦めて食器を捨てる

 

 

とりあえず④は却下。どうしても漆でやりたいので。

⑤に関しては、まあこの2年なくても生きていけたので、不要な食器といえばそうなります。でも蘇らせたいんですよ。あと金継の道具とか材料をそれなりに集めたので使いたいんですよ。

 

となると、一番無難なのは③でしょうか。ここまでやって悔しいけど、行ってみたい気もする。

 

うん…やはり③かな? 

そこで習得できればまた自分でやれるかもしれない。

 

 

希望が見えてきました✨

 

 

 

 

この投稿後に起こる悲劇を

当時のわたしはまだ知らない……