手焙煎コーヒーで豆と向き合っていると、ナッツもコーヒーくらい丁寧に向き合うべきだよね? とふと思いました。
お菓子づくりでナッツを買っているうちに、普通にナッツのまま食べるのがおいしいよね、といつの間にかアーモンド、クルミ、カシューナッツ、マカダミアナッツ、ヘーゼルナッツ、ピスタチオの6種類を常備するようになった我が家。
「ナッツ 炒り方」みたいなので調べると、大抵オーブンを使ったやつが出てくるんですね。「炒る」っていうと火のイメージがあったので、火よりオーブンの方が多いのは、最初は意外に思いました。
これはわたしの予想ですが、おそらく「ナッツ焙煎=お菓子づくりの一部」という認識が強いからじゃないでしょうか。ナッツをそのまま食べる人は、すでに加熱済みのナッツを買うでしょうから、「炒る」という行為をしようとする人は、大抵お菓子作りをしたい人なんだろうなと。
火で焙煎している人は全員フライパンでした(さらっとしか検索してないけど)。ナッツによってはコーヒーの焙煎で使っているザルでもできそうなものなのにな、とまた不思議でした。
わたしの買ったザルの説明では、ギンナンやゴマにも使えると書いていたような気がします。殻付きピスタチオって、ギンナンと近いイメージがあるのでできそうだなと思いました。
それで1か月ほど前にこの6種類すべてをザルで直火で炒ってみました。そしたらですね、一部成功して一部失敗。実が柔らかいと、ザルの目で削れちゃうんですね。ザルが”おろし金”化するってことです。
ナッツは油分が多いほど柔らかいですよね(たぶん)。油分が多いほどクリーミーなのでおつまみとかで人気のイメージがあります。調べてないので正確さには書けますが、うちにあるナッツで油分が多い順は下記のとおり。
1 マカダミア
2 クルミ
3 カシュー
4 アーモンド
5 ヘーゼル
圏外 ピスタチオ
(わたしの味覚しらべ)
ピスタチオは殻つきなのでランキング外。もし殻を取ったらクルミとカシューの間。
ザルで直火焙煎できるのは、アーモンドまで。アーモンドも多少削れちゃうので微妙ではありますが。カシューもやろうと思えばできるけど、粉が舞うので止めておいた方が良いでしょう。クルミを直火でやると、酸化した油が網につきます。
ということでほぼフライパンでやることになります。
これまでは合計500グラムくらいを一気にフライパンに入れて炒っていました。一応、油分やサイズを考慮して入れるタイミングをズラしてはいましたが、やっぱり難しい。サイズや組成も違うので、火の通り方がマチマチなんですよね。
個別にやると、色や香り、音の変化がもう少しわかるようになります。
オーブンの炒り方では160度10分というのが多かったので、強めの弱火10分を目安に、個別に炒ってみました。
今回はピスタチオとアーモンドをザルで、あとはフライパンにしました。
(今回、ヘーゼルはナシ)
ついでにお試しでアーモンドを軽く洗ってみました。というのも、コーヒー豆を炒るときに洗っていて、それがいい感じなんです。
コーヒー豆を洗うというのは、中川ワニさんのオリジナル法で、これにより薄皮を取るのが目的なのですが、「乾いた豆が水分を含むことで火の通り方が変わってくる」ということも書いていたような気がします。豆というのは種子ですから、ほんのり水分を含むことで生命力を少し取り戻すような感覚ですかね。
ナッツも種子なので適応できるんじゃないか、と考えました。薄皮はついていないので水分を含ませるのが主な目的となります。実がむき出しになっているカシューやマカダミアはやめておいた方がいいのではないか、油分の多いクルミを洗うのも抵抗がある、ピスタチオは殻をむくのがめんどくさい、ということで消去法でアーモンドを選択。
数回洗ってみたところ、少し水が茶色く濁りました。汚れというより皮の色かな、と思いましたが正解は分かりません。
そして炒ること約10分。香ばしい香りが広がったところでストップしました。今回のナッツの中で一番香りが立つのはアーモンドですね(ヘーゼルがあったら変わるかも)。油分の多さと香りは反比例するっぽいですね。
カシュー、クルミ、マカダミアの油分多め組はフライパンで。オイルが多いほど表面が焦げ付きやすいので注意が必要です。あとは割れて小さくなったのが入り混じっているので、小さいものから取り出しました。
ピスタチオとアーモンドまではコーヒーみたいにザルにあけて、うちわであおいでいたのですが、途中から面倒になってやめました。後で気づきましたが、むしろ少し足りないくらいで止めて、予熱で火を通した方がいいかも。コーヒーみたいにギリギリまで焼くわけではないですもんね。
そうして出来上がったナッツを混ぜて、自家製ミックスナッツの出来上がり。
これがめちゃくちゃおいしい。フライパンで一気にやるのとでは大違い。風味の豊かさが段違いです。
ナッツの炒り方に凝り出したのが最近だから、というのはあるかもしれませんが、1つ1つ丁寧にやるって大事ですね。
いままでは加工ばかりに目がいっていたけれど、まずは素材の味を最大限引き出すことが大事ですよね。和食ではよく聞く言葉ですが、外国の食材だって同じ。引き算の美学を改めて思い出しました。